調査記録13
天にそびえる恐怖の塔!
あさ〇り荘

2011年08月16日

member:NEO隊長、パーマ隊員、zets準隊員

場所:鹿児島県霧島市

久々の心霊スポット調査に我々が選んだのは知る人ぞ知るあさ〇り荘。
鹿児島の阿蘇にそびえるホテルである。
数十年前に火事により廃業となり年月と共に廃墟と化した。
数々の霊の目撃情報、恐怖体験がここあさ〇り荘にはあり、我々は真偽を確かめるべく現場へと飛んだ。


門から50m程歩くとその建物は姿を現した。
林に囲まれそびえ立つ廃墟。我々は思わず息を呑んだ。


まず我々はロビーに入った。かつて観光客で賑わったであろうロビーは散乱した瓦礫と静寂に支配されていた。


荒らされた形跡があり、いたる所にスプレーアートと言う名の落書きが施されていた。
我々は足元に注意しながら奥へと進んだ。


しばらく散策していると地下への階段を発見。
「地下はやばい」という噂を耳に挟んでいた我々は意を決して潜入することにした。


我々はその不気味さに驚愕した。
まるで洞窟かのように口を開けた地下の入り口に飲み込まれるかのようであった。


地下はコウモリの住居と化しており、不気味さをより一層醸し出していた。


奥のほうに見える階段が我々が降りてきた入り口である。
足元は水びたしになっており、歩を進めるたびに反響する水の音が我々の心を不安にさせた。


地下は意外と広く、迷路のように入り組んで見えた。
一つ一つの部屋を確認しながら霊がいないか探る我々。しかし出たところで飛んで逃げる自信に満ち溢れていた。


広間のような場所。赤く滲んだ床、一つ目の落書き、風に揺らぐカーテンが見事な調和を果たし恐怖の間に出来上がっている。


部屋もご覧の有様。


火事の跡が酷く残る場所へ出た。ここから出火したのだろうか。一段と空気が重くなる。


舞台のような場所。ここで宴会などが行われていたのだろうか。幕は永遠に閉じたままである。


大浴場。空っぽになった浴槽からは空虚感だけが漂っていた。


地下を脱出した我々は2階へと足を運んだ。
計8階まであるあさ〇り荘。先は長い。


2階からは全て宿泊用の部屋で構成されている。各階に6部屋(うる覚え)程ある。


恐怖心に煽られるとなんでもないものまで怖く見えてしまう。壁の染みが怖かった。


ここまでやってきてスプレーアートを施していく輩はある意味ど根性である。


3階、4階と順に調べていくがこれといって何の現象も起きない。
懐疑的だからだろうか、疑ってかかる者にはやすやすと姿を見せてはくれないのもしれない。


この日から遡ること数ヶ月前、zets準隊員から1本の電話があった。
幽霊に襲われた
すぐさま隊長はzets準隊員に会い話を聞いた。

話によるとzets準隊員は深夜に高速道路を走っており、休憩を取るためSAに入った。
車の中で休んでいると、ふと外に白い服を着た女が立っている。
自分以外には車もなくこんな深夜におかしいなと思ったがいじっていた携帯電話に視線を戻した。
だがやはり気になる。zets準隊員は外に顔を向けた。
女が目の前にいた。
窓ガラスを挟んだ距離で言うと数十pも離れていないそこに女は立っていた。
垂れ下がった黒い髪、ボロボロの白い服。眼球があるはずの場所にはそれが無くぽっかりと穴が開いている。
zets準隊員はあまりの事態にその場から離れるため車を出そうとした。
その瞬間。
女は助手席に座っていた。
すると女はzets準隊員に掴みかかり耳元で「落ちろ・・・落ちろ・・・」と囁くではないか。女を引き剥がそうとするのだが触ることができない。女の感触はあるのだがこちらからは触れることができないのだ。
zets準隊員は何もできないことを悟り、なぜか音楽のボリュームをMAXにしてから顔を伏せ叫び声をあげながら時間が経つのを待った。
何分経っただろうか。「ドン!ドン!ドン!」と窓を叩く音がした。
「おい!どうした!」
顔を上げるとおじさんが驚いた顔でこちらを見ている。
たまたまSAに入ってきたところ、大音量で音楽をかけ、車の中で叫んでいるzets準隊員を発見し、心配して声をかけてきたのだ。
zets準隊員が恐る恐る助手席を見るとそこにはもう女の姿はなかった。
zets準隊員はおじさんに訳を話したのだがおじさんは信じてくれず、缶コーヒーを奢ってくれた後に帰っていった。

あまりに衝撃的な話に隊長は驚きを隠せなかった。
それが寝床での体験であれば「寝ぼけてたんだろ」の一言で済ます隊長だが今回ばかりはそうも言えなかった。
本当であるとすれば一瞬で移動するなど人間業でないことは確かだ。
「やはり存在するのか・・・」
しかし自分で見ないことには信じきることができない。
(ちなみにそのSAに2、3度足を運んだが隊長は霊を見ることはなかった)

zets準隊員の体験談を思い出しつつ調査を続けた。


当たり前だが部屋の配置が同じなのでいまいち代わり映えしない単調な作業が続く。


5階ぐらいまで来ただろうか。突然建物の外から声が聞こえた。
ライトを消してその場に固まる我々。耳を済ますと足音が近づいてくる。複数だ。
足音はもの凄いスピードで近づいてくる。階段を駆け上がり、「ガチャ」と扉を開ける音が聞こえる。
我々が身動きを取れずにいるととうとう我々がいる階までやってきた。
意を決しこちらから近づいていく。
現れたのは同年代の若者達だった。
「こんばんわ!肝試しですか?幽霊出ました?」
若者の一人が元気よく挨拶をしてきた。
「いや、まだ出ないですね・・・」
まさか肝試しのグループに遭遇するとは。初めての経験だった。
そして若者達は風のごとく帰っていった。


我々はネチネチと各部屋を調べまわった。しかし霊は出ない。


全ての階を見終わった我々は屋上へと向かった。


ここまで解放感のない屋上も珍しい。明るいうちだと眺めも良いのだろうがそこにあるのは闇だけだった。


破壊されている。元々は隣の台座に乗っていたのだろうか。
屋上でも何事もなく、我々は下まで戻ることにした。


心霊スポットとして名高いあさ〇り荘。
しかし我々は霊と遭遇することができなかった。
不気味ではあるがいたって普通の廃墟である。
しかし我々の調査は終わらない。霊の存在をこの目で確かめるべくまた新たなスポットへと向かうのだ。


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