摩訶不思議ワールド



調査記録14
森の中のブラックホール!
鶴田ダム湖の心霊トンネル

2012年01月24日

member:NEO隊長、CROW隊員

場所:鹿児島県伊佐市


我々が今回やってきたのは九州でも屈指の面積を持つ鶴田ダム湖。
実は湖一帯が心霊スポットと噂されるこの場所だが、我々はその中でも最近目撃情報があったというトンネルを調査することにした。



トンネルまでの道のりはとても険しく、車で侵入するには不可能だとわかった我々は歩いていくことにした。
しかし歩いていくには距離が長く、そのうえ悪路と寒さに体力を奪われる。
息を切らしつつ歩いていると、それは姿を現した。



森の中に現れたブラックホール。まるで異次元に繋がっているかのようなそのトンネルはそこにあった。
「結構怖いぞこれ」「開聞トンネルと互角だな」
そんなことを言いつつトンネルから漂ってくる異様な空気に息を飲んだ。

CROW隊員「テンション上げていこう!」

毎度のことながらビデオも撮影している。今まで撮ってきた動画を見ると我々はほぼ無言であることが多く、それを反省していた我々は「次からはもっとしゃべっておもろいことバンバン言おう!」とアホみたいにハードルを上げて今回の調査に臨んだのだ。
隊長「よーし行くぞ!」
ものすごく普通なことを言って我々はトンネル内部へと足を踏み入れた。



トンネル内部は明かりがなく、懐中電灯を消すと一滴の光すらない。
距離も長く、壁全体は鉄で覆われており、冷たい空気が流れていた。

そしてここで隊長が大事なことに気づく。

隊長「ばけたん忘れた」

心霊スポット調査には欠かせないアイテム、お化け探知機ばけたん
それを車の中に忘れるという大失態を犯したのだ。
しかし山道を走っている時に赤く反応していたばけたん。我々は期待して気を取り直した。



中間までやってくると鉄の壁から剥き出しのコンクリに変わった。
隊長「コンクリの壁に変わりましたね!」
相変わらず普通なことしか言わない隊長。



しばらく歩いているとコウモリを発見。
眠りに付いている。このトンネルを宿としているようだ。



写真を撮ってご満悦の隊長。
コウモリが急に羽ばたくというハプニングを期待したが空気を読んでくれなかった。



隊長「しっ!」

ここで隊長が静かにするようジェスチャーしながら足を止めた。

隊長「なんか足音が聞こえた」

先程からずっと、後ろから付いてきているような足音が聞こえたのだ。
しかし足を止めるとその音も止んだ。
「反響しただけか・・・」
自分たちの足音の反響にビビるまさかの隊長であった。



そしてついに出口までやってきた。
道は荒れ果てており、こんなところになぜあるのかという場違い感がトンネルの不気味さをより一層醸し出す。
我々は引き返すことにした。



ここで隊長が写真を撮ると、大量のオーブが写り込んだ。

隊長「実はこのオーブ、ただの埃なんですよ」

急に語りだした。

隊長「フラッシュをたいた時にわかるのですが、大量の埃が舞っています。それを近距離で撮るとこのように写るのです」

ドヤ顔でビデオカメラに向かって語る隊長に無表情のCROW隊員。我々は調査を続けた。



今のところこれといって何の現象も起きない。
ただただ寒いだけである。
「テンション上げていこう!」
ああそんなことを言っていたっけ・・・。遠い記憶のようだ。
完全に無言でトンネルを闊歩する大の大人二人。
むしろ幽霊が我々にビビってる(引いてる)のではなかろうか・・・

と、ここでまたもや隊長が足を止めた。

隊長「・・・・・・」

CROW隊員「・・・・・・」

CROW隊員「俺達の足音だね・・・」

なんと隊長再び音の反響にビビッたのだ。さっき自分で反響言うてたやんけ・・・

隊長「自分達の足音が反響しているようです!」

なぜか説明する隊長。自分に言い聞かせているのだろうか。

そんなこんなで我々は入口まで戻ってきた。



こうして今回も何も起こらないまま調査は終わった。
しかし山奥のトンネルがこれほど不気味なものだとは知らなかった。
CROW隊員「じゃあ帰りますか!」

最後まで普通なことを言いつつ我々は帰ることにした。
再び長い山道に息を切らしながら・・・

家に着いた隊長は早速動画をチェックした。
「もっとしゃべれや俺・・・」
自分の不甲斐なさに落胆しながらも動画を見ていると、なにやら気になる声が入っていた。
それは言葉と言うよりも叫びに近い声だった。

うひょーい!

な、なんだこれは!?霊の声か!?
なんども再生するが隊長には「うひょーい!」と言っているようにしか聞こえない。
しかしこれは自然現象などではなく明らかに何者かの声だ。
「そういえばトンネルに向かっている途中、シカとたぬきに遭遇したな・・・」



わかりづらいがこれは2匹のシカと遭遇した時に撮ったものだ。
このように野生動物もいる場所で、たぬきにはなんと3回も遭遇した。しかも1回轢きそうになった。

嫌な予感がしつつも隊長はシカの鳴き声を調べることにした。
ふむ、どうやらシカの鳴き声ではないようだ。

確かに動物があんな声で鳴くとは思えない。やはり霊に違いない。
隊長は鼻息を荒くしつつ、ついでにたぬきの鳴き声も調べた。


「これだわ」


膨らんだ期待はシャボン玉のようにはじけて消え、持ち上がるだけ持ち上がった興奮は怒涛の勢いで叩きつけられた。

「たぬきや・・・思いっきりたぬきや・・・たぬきやで・・・・」

頭の中にたぬきの3文字が映画のスタッフロールのように下から上へ現れては消える。
たぬきに化かされた。いや、馬鹿にされた。

「たぬきのバカヤロー!!」

こうして今回の調査は幕を閉じた。




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